こんにちは 唐澤寿です。
最近、“日本人のお米離れ”という事が言われています。
時代と暮らしの変化によって、私たちが気づかないうちに
“お米離れ”は少しずつ進行しているようです。
一方で、テレビや雑誌で「ご飯が美味しく炊ける炊飯器」
のテーマが取上げられている中に、伊賀焼窯元長谷園の
「かまどさん」という土鍋が紹介されていました。
会社の研修旅行で三重県伊賀市の伊賀焼の里に行く機会がありました。
長谷園さんには「登り窯」、「大正館」など12件の
国の登録有形文化財に登録された建物があり
ショップや展示室として自由に見ることができます。
「登り窯」
「大正館」
その中の「大正館」は大正時代に建てられ、
10年前までは実際に事務所として使われていたのだそうです。
電話も金庫もそのままに、大正ロマンの面影をたっぷりと
残している空間は休憩コーナーとして開放されていて
ここでコーヒーを買うと器として使った伊賀焼カップが貰えました。
そんなサービスにも感動しましたが、「大正館」の雰囲気や
外壁の一部が蔵のような土壁造りになっていることに驚きました。
「カップはお持ち帰りできます」
先月、蔵の外壁工事をさせて頂きました。
長年大切に使ってこられた蔵は、木部腰壁や土壁の一部分が傷んでいました。
木部腰壁は撤去し、土壁の傷んだ部分の様子を確認しながら下地材を取りつけ
軽量で丈夫なガルバリウム鋼板で覆い仕上げました。
通気を確保していますので既存の土壁と共に、この先も末永く安心して
お使い頂けることと思います。
外壁工事の解体や撤去をしている時に、この蔵を造った職人さんの
造り方や仕上げ方を見る事ができました。
研修旅行に行って来てからや、蔵の外壁工事を行って思うことがあります。
それは、土鍋の良さを生かして美味しくご飯を炊く事が改めて見直されたり、
蔵は防火・防湿・防犯の利点を生かし保管庫として利用されて来ましたが
近年は日本文化を感じられるおしゃれなカフェなどに変身したりして
古き良きものを残しながら新しい魅力を発信しています。
今の時代に「土」の良さが見直されている事は、土の長所を生かして
長年使って来た先人の知恵と、土鍋や蔵を作り守り続けた
職人技術の素晴らしさがあってこそなのだと思います。